縄文人の思い。 第7回 自然と共生した1万年。
佐藤
土から掘り出した土器を見て、
正直に言えば「縄文人の心」だなんて、
まあ、わかりっこないですよ。
でもね、わからないんだけど‥‥
わからないってのはつまり、
学問的に突き詰めることは難しくても、
どうにかして、痕跡を嚙み砕きながら、
「縄文人の心」に
接近できたらいいなあって思うんです。
縄文人が現代人と同じ思考パターンを持っていて、周囲の環境が変わっただけとい立場を取るならば、周囲の環境を再現することができれば、縄文人と同じ感じ方をすることができるのかもしれない。
──
はい、食べものの話とかが出てくると、
なぜなのか、
縄文がぐーっと身近に感じられますし。
佐藤
東京湾の沿岸にある貝塚なんかも、
ていねいに調べていくと、
残ったものから、
当時、社会規制がかかっていたことが
わかるんですよ。
──
社会規制?
佐藤
いわゆる「春に稚魚は取るな」とかね。
で、そういう規制のない集落は、
潰れていくんですよ。存続時間が短い。
──
つまり、乱獲ってことで。
佐藤
そう。
──
そういう「人々のルール」まで、
残されたもののから推察できるのって
すごくおもしろいし、
その延長線上にあると考えたら、
縄文人の「心」も見えてきそうですね。
佐藤
何度も言うけど、
人類が自然と共生した1万年ですよ。
人類が、1万年もの間、
自然と共生しながら作り上げてきた、
ひとつの生きる方法というか。
──
それが、縄文。
佐藤
最初は豊かな自然とともにはじまった
世界四大文明ってやつも、
人間至上主義で自然を淘汰していけば、
だいたい千年くらいで滅びちゃう。
その点、自然と共生した日本の縄文は、
1万年間、森の民として生き続けた。
そこを、知ってほしいと思うんだよね。